便秘とは
便秘とは「便が大腸内に停滞することで硬くなったりしてすっきり出せず、そのことで過度に踏んばらなければならなかったり、残便感や詰まった感じなどを認める状態」です。
慢性便秘とは
慢性便秘とは「慢性的に続く便秘のために日常生活に支障をきたしたり、身体にも様々な支障をきたしうる病態」です。
近年、慢性便秘症は生活の質を下げるだけでなく、血圧の急激な上昇から心血管イベントのリスクとなるなど、生命予後にも関係していることが明らかになってきました。また便秘の原因として大腸がんなどの疾患が隠れていることもあります。このようなことから慢性便秘症は積極的な検査、治療が必要な病気ということが出来ます。
慢性便秘症の頻度
慢性便秘症の有病率は10~15%といわれています。全体的に女性に多いものの、男女ともに加齢に伴って増加し、70歳以上では男女の差はなくなります。
慢性便秘症の原因、リスク
- 女性
- 運動量の低下
- 腹部手術歴(特に大腸・直腸の手術や婦人科手術)
- 特定の基礎疾患(糖尿病、甲状腺機能低下症、うつ病、パーキンソン病、強皮症などの膠原病)
- 加齢
- 一部の薬剤(鉄剤、抗コリン薬、向精神薬、医療用麻薬、抗がん剤)
警告症状・リスク
便秘の診察の際は、まず症状、病歴、服薬状況、排便様式などをしっかりと伺います。この際下記のような警告症状や危険因子がある方は、大腸がんなどによって便秘が引き起こされている可能性があり、特に注意が必要です。
警告症状
- 排便習慣の急激な変化
- 血便
- 6か月以内の予期せぬ3kg以上の体重減少
- 発熱
- 関節痛
- 腹部腫瘤の蝕知や直腸診による腫瘤の蝕知、血液の付着などの身体所見
危険因子
- 50歳以上になってからの発症
- 大腸疾患の既往や家族歴
便秘の検査
大腸がんなどの腫瘍性疾患などを確認するために、大腸カメラ検査は特に有用です。
また必要に応じて採血、腹部レントゲン、CT検査なども行います。
便秘の治療
生活習慣の改善
薬物療法と並行して行います。適度な食物繊維の摂取、キウイフルーツやプルーンの摂取などは有効性が示されています。また十分な水分摂取や適度な運動も効果的です。
薬物治療
以下の薬剤を必要に応じて使用します。必要に応じて浣腸や座薬も用います。
効果 | 薬剤名 | 商品名 |
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腸内に水分を加える治療 | 酸化マグネシウム | 酸化マグネシウム |
ルビプロストン | アミティーザⓇ | |
リナクロチド | リンゼスⓇ | |
ポリエチレングリコール製剤 | モビコールⓇ | |
ラクツロース | ラクツロース | |
大腸を動かす治療 | ||
エロビキシバット水和物 | グーフィスⓇ | |
センナ | アローゼンⓇ | |
ピコスルファートナトリウム水和物 | ラキソベロンⓇ | |
漢方薬 | 大黄甘草湯 麻子仁丸 |