健康診断で異常が見つかった方へ
健康診断で「要塞検査」「要医療」「要精密検査」などの結果が出ても、「面倒だから」「自分で生活習慣を変えれば問題ない」といった理由で放置される方が少なくありません。
せっかく忙しい時間の合間を縫って受けたものですので、その結果をうまく活かして、病気の早期発見や予防に役立てましょう。
健康診断の結果の見方
健康診断では以下のような判断がなされます。
異常なし
今回の検査では気になる所見が認められませんでした。今後も年一回の健康診断を受けて健康の維持に役立てましょう。気になる自覚症状がある場合は、検診結果に関わらずご相談ください。
要経過観察
今すぐ精密検査や治療は必要ありませんが、注意が必要です。次回の健康診断の結果で推移を確認しましょう。
要精密検査
さらに詳しい検査が必要な状態です。早めにご相談下さい。
要治療
治療が必要な状態です。早めに受診ください。治療に取り組みましょう。
健康診断で
指摘されることが多い項目
健康診断で使われる基準値は病気の早期発見のために、一般に病院で使われる基準値より厳しく設定されています。
そのため、検診結果が異常値だらけで驚く方もいらっしゃるかと思います。
当院では異常値を認めた場合に、再検査、精密検査の必要性を判断したうえで、検査のご案内を行います。またその際もなるべく早く検査結果が出来るように体制を整えています。
血糖値、HbA1c
(糖尿病)
糖尿病や糖尿病予備軍であるかどうかを判定します。糖尿病は動脈硬化の進行以外にも深刻な合併症がたくさんありますので、異常を指摘された場合は早めに受診ください。
コレステロール値
(脂質異常症)
LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、中性脂肪(TG)を測定し、脂質異常症かどうかを調べます。脂質異常症は動脈硬化を進行させ、脳梗塞や心筋梗塞など、重篤な合併症のリスクを高めます。
肝臓の数値
(肝機能障害)
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、ALP、ビリルビンは肝臓の状態を知るための数値です。これらが基準値を超えている場合、肝機能低下が疑われます。
クレアチニン
(腎機能低下)
クレアチニンは筋肉が運動する際に必要なエネルギーを生み出したあとの老廃物で、ほとんどが腎臓から排泄されます。そのため腎臓の機能が低下すると排出がうまくいかず数値が上昇します。腎機能は改善するのが難しいため、悪化させないことが重要です。
尿たんぱく・尿潜血
尿たんぱくは慢性腎臓病、尿潜血は泌尿器科系(腎臓・尿管・膀胱・尿道)の炎症や疾患の可能性があります。これらが陽性であっても深刻な疾患が隠れているケースは多くないため、過度な心配は無用ですが、精密検査が必要と判断された場合はしっかりと検査を受けることが大切です。
ピロリ菌陽性
ピロリ菌抗体陽性といわれた場合は、「ピロリ菌に感染している可能性がある」ということになります。ピロリ菌に感染すると胃粘膜で免疫反応が起こる結果抗体が産生され、血中抗体価が高くなります。そのためピロリ菌抗体価の測定は間接的にピロリ菌感染の有無を検査していることになります。ただ抗体はピロリ菌そのもの(抗原)ではありませんので抗体が陽性というだけでは、直ちに除菌治療は出来ません。過去にピロリ菌に感染していたが、胃粘膜の萎縮が進みピロリ菌が住めなくなった(自然除菌:最も胃がん発生のリスクが高いと言われています)方も含まれるためです。そのため抗体が陽性と判定され、かつ胃カメラ検査を受けていない方は、まず胃カメラ検査を受けて頂き、必要に応じて尿素呼気試験によるより確実な診断を行ったうえで、除菌をしてください。また除菌に成功しても、胃がんのリスクがゼロになるわけではないことには注意が必要です。ピロリ菌に感染している期間が長いと、胃の粘膜が正常に戻るのに時間がかかるからです。除菌後も定期的に胃カメラ検査を受け、胃の状態を確認しましょう。
便潜血陽性
便潜血検査は、大腸がんのスクリーニングを目的として行われる非侵襲的な検査で、便を少量採取して提出するものです。通常、便に血が混じることはありませんので、この検査で陽性となった場合は、「大腸に大腸がんをはじめとする、出血を来すような病気がある可能性がある」と考えられます。
そのため便潜血が陽性と指摘された場合は、大腸カメラ検査を受けて大腸の状態を確認することが重要です。大腸がんは早期発見することで完治を期待することができる疾患です。当院では、経験豊富な医師が患者さんの苦痛に配慮した内視鏡検査を行っております。内視鏡検査に抵抗がある方も、安心してご相談ください。